ヤンデレラ

昔々、シンデレラと言う娘がいました。

彼女は幼くして両親を無くし、おばさんのうちに引き取られ、その連子である二人の義姉の4人で暮らしていました。

 

しかし、彼女は両親を無くしたショックから、心を閉ざしてしまいました。

 

義姉1「シンデレラ、今日はこの国の王様が主催する舞踏会が開かれるの。あなたももちろん行くでしょ?」

 

シンデレラ「私はいいわ。どうせ舞踏会に行っても踊れないし、恥を書くだけだもの。それに私はお姉様たちと違って可愛くないし・・・」

 

義姉2「そんなことないわ!あなたはとっても素敵よ。今日はあなたも一緒に行くだろうと思って、あなたの分のドレスも用意したの。ほらここに。」

 

義姉2はとても可愛らしく、美しいドレスをシンデレラに見せました。

 

シンデレラ「いや、私はいいわ。そんなに可愛いドレスは私には似合わないわ。私のようなウジ虫にはこの継ぎ接ぎだらけの服がお似合いだわ。私はうちで大人しく掃除でもしてるから、お姉様方だけで行ってきて。」

 

義姉1「いやよ!私たちはあなたと一緒に行きたいの!あなたのために妹が用意してくれたし、ちょっと様子を見るだけでも良いから、ね!一緒に行きましょう。」

 

義姉2「そうよ!お姉様の言う通りだわ!シンデレラも行きましょう!」

 

「いえ、大丈夫です。私には気を使わないでください。うちが好きなの。私はうちから出たら死ぬの!だからほっといて!」

 

姉二人が必死に説得を試みるも、シンデレラは頑なに外に行こうとはしませんでした。

仕方がないので、姉二人の義母の3人で舞踏会に行くことにしました。

 

シンデレラ「・・・。ようやく行ったか。ついに一人になれたぞーーーーー!!!!!フッフーーーー!さーて適当に掃除済まして、BL本読みまくるぞおおお!」

 

シンデレラはこれ見よがしにエンジョイ独り身ライフを楽しもうとしました。

 

しかし。

 

???「ほっほっほ。そんなに一人が楽しいかの?」

 

シンデレラ「だ、誰?」

 

魔女「わしは魔女じゃ。お主に会いにきた。」

 

シンデレラ「私に会いにきた・・・?はっ!まさか私の秘蔵のお宝コレクションに気づいて・・・!」

 

魔女「いや、それはいらん。それにそのお宝コレクションなら家族のもの全員が気づいておるよ。」

 

シンデレラ「な、何を言ってるの!て、適当なこと抜かさないで。良いから出てってよ!私は忙しいの。アポがないなら次から来ないで。」

 

魔女「お主は2次元だけで良いのかの?」

 

シンデレラ「どう言う意味?」

 

魔女「言葉通りの意味じゃ。わしならお主を3次元の男どもから言い寄られるようにする、それどころかあの王子からも言い寄られるようにすることもできるのじゃが、お主が帰れと言うなら仕方ない。わしは帰らせてもらうかの。」

 

シンデレラ「待ちなさい。」

 

魔女は後ろをふり返りました。

 

シンデレラ「今の話、詳しく!」

 

魔女「ほっほっほ。そうでないとな。」

 

魔女は自分の魔法でシンデレラを美しい格好にすることができると言うではありませんか?

そしてモテモテになると。

 

ただしその魔法は深夜の0時までにしか効果はなく、それをすぎると魔法が解けてしまうそうです。

 

魔女「シンデレラや。それで構わないなら魔法をかけるが良いかの?」

 

シンデレラ「早くしなさいよ。時間が勿体無いわ。」

 

魔女「お主と言う者は・・・。まあ良い。では行くぞ!ほれ!」

 

すると一瞬にして先ほどのツギハギだらけの服装からとても美しいドレス姿になりました。

魔女はシンデレラに鏡をわたしました。

 

シンデレラ「嘘?これが私?信じられない!」

 

魔女「ほっほっほ。これが魔法の力じゃよ。そしてここから舞踏会まで距離がある。これに乗って行くのじゃ。」

 

そう魔女が言うと、かぼちゃでできた大きな馬車が現れました。

 

シンデレラ「何これ!すごい!夢みたい。」

 

魔女「それに乗って行くのじゃ。シンデレラよ。時間だけは必ず守るのじゃ。それだけは約束じゃ。そうしないと魔法が解けてしまうからの。」

 

シンデレラ「わかったわ。0時までね。それまでには必ず戻るわ。じゃ。」

 

シンデレラはかぼちゃの馬車で舞踏会の会場まで向かいました。

 

***********

 

シンデレラ「ここが舞踏会の会場ね。」

 

早速入ってみるとそこにはすごい数の人がいました。

そしてすでに男女のペアは確立しており、シンデレラが入り込む隙はありませんでした。

 

シンデレラ「」

 

シンデレラ(ここは私には無理ね。帰ろう。)

 

そう思った時。

 

???「なんと言う美しい女性だ。もしよかったら僕と踊ってくれませんか?」

 

シンデレラが振り返ると、なんとそこにはこの国の王子がいたではありませんか。

 

シンデレラ「私なんかでよければ喜んで(よっしゃ!早速有望株きたあああ)」

 

こうしてシンデレラと王子は踊ったりお話したり、楽しい時間を過ごしました。

 

シンデレラ(すごい楽しい。ところで今何時かしら?・・・。ええええええええ23時53分んんんんんんんんん?あと7分で魔法解けるじゃない。やば帰れないと)

 

王子「ねえよかったら今夜、一緒に・・・」

 

シンデレラ「ごめんなさい!私急用あったの思い出した。また今度お会いしましょう。それでは!!!!!!!」

 

王子「え?待って?送って・・・。行っちゃった・・・」

 

シンデレラ(ああああ、やばい。魔法解けちゃうよ。あっ)

 

ドテン。

こけました。

 

シンデレラ「いったあ。あ、靴脱げた。でももう時間ないから良いか。それよりも急がないと。うおおおらあああああああ」

 

王子「君、靴落とし・・・。足速いな。」

 

こうしてダッシュでシンデレラは帰り、魔法が解ける前に会場から抜け出すことに成功しました。

 

 

そして翌日。

 

配達員「号外、号外。王子が花嫁を探しているそうだよ。なんでもガラスの靴に合う女性を探しているとか。」

 

シンデレラ(ガラスの靴?それってまさか・・・?)

 

シンデレラは王子の元へダッシュで向かいました。

 

王子「君ではないみたいだね。では次の人。」

 

シンデレラ「はい!私です。」

 

王子「では履いてみて。」

 

シンデレラ(これは正直出来レースね。なぜなら私の靴だから。ん?入らない。おかしい。なんで。)

 

王子「残念。君ではないみたいだね。では次の人。」

 

シンデレラ「はあ!?あんた何言っているの?昨日はあんなに私に言い寄ってたじゃない。それなのに他の女探すわけ。私があんたと昨日踊ったんですけど。」

 

王子「いや、知らないな。僕が昨日踊ったのはもっと美しい方だった。それに現に君は靴に入らなかったじゃないか。」

 

シンデレラ「そんなことないわ。だって私。」

 

王子「そう言うことだ。他の人も探しているからごめんね。」

 

シンデレラ「信じてくれないの?」

 

王子「だって証拠がないだろ?」

 

シンデレラ「あんなに好きって言ってくれたの。」

 

王子「それは君じゃない人だよ。先から何?やめてくれるかな?他の人も怖がってるから。」

 

シンデレラ「いるわけないわ。その靴が合う人なんて。だって私がその靴の持ち主だし。ねえ。王子さま。私のことが好きなんでしょ?昨日好きって言ってくれたよね?夜だって一緒にいたいって言ってくれたじゃない。私嬉しかったな。あなたにそんなに思ってもらえて。」

 

王子「先から君は何を。とりあえずみんなが怖がるからやめてくれ。それ以上関わると逮捕だよ。」

 

シンデレラ「いいわ。逮捕されても。そしたら毎日王子さまと一緒にいられるもんね。私料理得意なの。王子さまが好きなものなんでも作ってあげる。あと、早く昨日の続きしよう。私待ちきれないわ。」

 

王子「何を言って・・・おい、誰かこの子を捕らえろ。」

 

シンデレラ「ふふふ。照れちゃって。また明日も来るわ。」

 

それから毎日王子の元へはシンデレラからの手紙が届くようになりました。

 

内容は王子さまがやっていることを一字一句書き残し、自分の髪や爪と一緒に手紙に入れ送り続けました。

毎日毎日。

 

家臣1「王子はもうダメかもしれない。相当精神が参っておる。」

 

家臣2「ああ、昨日も血で真っ赤に染められたケーキが届くし、これは相当やばいな。」

 

王子はあまりの悲惨さにノイローゼになってしまったのです。

 

王子「シンデレラを捉えよ。」

 

それだけ家臣に告げ、シンデレラはとうとう捕まってしまいました。

 

シンデレラ「王子様が住んでいるお屋敷と同じところ。一つ屋根の下。ねえ王子様。同じところ私はいるよ。」

 

家臣1「とにかくお前は王子に合わせるわけにはいかない。」

 

家臣2「そうだ。お前はおかしい。」

 

シンデレラ「なんで?なんで王子さまと私は会えないの?恋人同士なのに?あなたたちは私の邪魔をするのね?そうなのね。」

 

シンデレラ「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」

 

家臣1「なんだこいつ?とりあえず早く逃げよう。」

 

家臣2「そうだな。ひい。」

 

翌日。

 

家臣1「ほら飯だ。食え。ん?いな・・・。うわあああああああああああああああああ」

 

家臣2「どうした?今いく!何があった?・・・。死んでる?ま、まさか?うわあああああああああああ」

 

シンデレラは自らの髪を切り、それで家臣たちを絞殺しました。

 

シンデレラ「この鍵があれば、王子様に会える。待ってて王子様。私のことを邪魔する悪者は倒したからね。」

 

 

**************

 

王子「なんか悲鳴が聞こえたな。下の方からだ。」

 

王子は何かあると思い、下の階に降りて行きました。

すると。

 

シンデレラ「王子様。やっと見つけた。」

 

長い髪の毛を手に持ったショートヘアーの女性が立っていました。

血のついた手に顔。

そして・・・。

 

シンデレラ「みて王子様。王子様と私を邪魔する悪い奴を倒したの。ほら証拠に。」

 

彼女が手に持ってたのは家臣たちの首でした。

 

王子「うわあああああああああああああ」

 

王子はたまらなくなり、そこで嘔吐。

これはやばい。

人間のやることじゃない。

 

シンデレラ「王子様大変!具合悪いの?私が看病してあげる。つきっきりで。」

 

王子「近寄るな!」

 

シンデレラ「どうして?奥さんが旦那の看病をするのは普通でしょ?これから一緒に生活ができるんだから、お互いに助け合わなきゃ。」

 

王子「来るな!ハアハア。それ以上近づいたら僕が君を殺す。」

 

シンデレラ「殺す?なんで?あなたは私の奥さんなのに。どうして?」

 

王子「君は僕の妻じゃない。それに君は僕の家臣を殺した。これは有罪だよ。」

 

シンデレラ「ああ。あれはあの人たちがいけないの。だって私と王子様が会うのを邪魔したから。当然の報いでしょ。それよりも王子様。看病してあげるから一緒に行きましょう。これからは毎日一緒だからね。」

 

王子「やめろ!それ以上。近寄るな!君の奥さんなんて絶対にならない!」

 

シンデレラ「どうして?あんなにあの日の夜は好きって言ってくれたじゃない?王子様は私のことが嫌いなの?」

 

王子「嫌いに決まってるだろ。それよりも憎んでさえいる。僕の家臣を殺した。」

 

シンデレラ「そう。あなたはわたいのことがすきじゃないのね。」

 

王子「そうだ。」

 

シンデレラ「そう。」

 

シンデレラ「じゃあ私のことを好きにならないなら、あなたを殺すわ。」

 

シンデレラは家臣の首を王子に投げつけました。

 

王子「な!(体が動かない)」

 

王子は家臣の首を投げられたことにより、あっけにとられたのと、シンデレラに恐怖し、足がすくんだのです。

 

王子「やめろ。来るな。お願いだ。来ないでくれ。うわあああああああああああああ」

 

 

************

 

 

シンデレラ「王子様ったらまた残してる。なんでも食べないとダメでしょ?」

 

王子「」

 

シンデレラ「そうだ!今日は天気がいいからお出かけに行きましょう。私いいところ知ってるの。」

 

王子「」

 

シンデレラ「とってもその帽子似合うわよ。ほら行こう。・・・。もう本当に甘えんぼさんなんだから。もう抱っこするのは今日だけだぞ。」

 

そういってシンデレラは出かけに行きました。

そう。

 

王子様の生首と共に。

 

END